これから戸建て住宅を手に入れようと住宅情報を調べる方の多くが、不動産用語を初めて目にするということもあるかと思います。
この記事では「分譲住宅」や「分譲地」について説明しています。これらは、実は「建売」と誤解しやすい、もしくは混同しやすい用語です。戸建て住宅の購入をお考えの方は、ぜひご一読ください。
目次
分譲住宅・分譲地とは?
分譲地とは?
分譲住宅と宅地の違い
分譲地のメリット
ライフラインが整備されている
街づくりの計画がしっかりなされている
予算以上のクオリティの環境を手に入れられる
コミュニティになじみやすい
防犯面に優れる
分譲地のデメリット
交通の便がよくないことがある
住人との交流が面倒になることがある
分譲地を購入する際に注意すべきこと
建築条件
比較の際はライフラインがすでに含まれていることを忘れずに
分譲住宅と建売住宅
分譲住宅の特徴
分譲住宅と建売住宅に共通するメリット・デメリット
分譲地でも注文住宅を建てられる
分譲住宅・分譲地についておさらい
まとめ
分譲は、分割譲渡のことです。
分譲地や分譲住宅、分譲マンションという言葉は、皆様も耳にしたことがあるのではないでしょうか?
まずは「分譲地」という用語から解説しましょう。
分譲地とは、不動産会社が購入した土地を、住宅建設用に小分けにして区画で販売される土地のことです。分譲地のサイズはさまざま。数軒程度の住宅が建築されるだけの小さな分譲地から、100軒以上の家が建てられ、ひとつのコミュニティになるほどの大きな街単位の分譲地もあります。小さな分譲地はすでに市街地になっているエリアにあることが多く、大きな分譲地は市街地から離れていることが多いようです。
つづいては、「分譲住宅」という用語について解説します。分譲地は、不動産会社が住宅建設用に小分けした土地のことでしたが、分譲住宅は、この分譲地に建てられる住宅のことです。分譲地に住宅が建てられた状態になっており、購入者は分譲地と住宅の両方を同時に手に入れます。
分譲地は、家を建てることができる土地である「宅地」です。分譲地にはすでに電気などのライフラインが整備されているため、購入してから自腹で整備する必要がありません。分譲地ではない宅地を購入する場合は、ライフラインを自腹で整備する必要があります。
それでは、分譲地のメリットとデメリットについて解説します。まずはメリットからです。
分譲地にはすでにライフラインが整備されているため、土地だけを購入する場合よりも手間がかかりません。ライフラインを自力で整備する場合、土地の状況によっては非常に多くの予算を割かなければならないことがあります。
分譲地は不動産会社が街づくりの計画をしっかり立てています。そのため、分譲地では不便を感じずに生活できるでしょう。これは分譲地の大きなメリットです。おしゃれな雰囲気の分譲地が多いのは、やはりしっかりとした計画がなされているためかと思います。
ひとつの不動産会社が開発を手がける分譲地。建築資材を大量に仕入れて住宅を建築するため、コストが抑えられます。住みやすい土地と住宅を、安く提供できるため、オーナーは予算以上のクオリティの環境を手に入れることが可能です。予算に余裕ができれば、新居での生活に余剰予算として回せます。
新しい分譲地は、住民のほとんどが新しく移り住んでくるので、すでにできあがっているコミュニティと比較して容易になじみやすいという傾向があります。古いコミュニティに土地を購入し、家を建てる場合は、出来上がっているコミュニティに入っていくため、コミュニティになじむための行動力が必要であるケースも見受けられますが、分譲地の場合、その心配はありません。分譲地は似たような構成の家族も多いので、子どもの学業や習い事など生活や学校情報を仕入れやすいというメリットもあります。
分譲地は、しっかりとした計画により街づくりが進められています。例えば、分譲地にもよりますが、警備員や防犯カメラの配置もそのひとつです。防犯面や地震、火事などの災害への対応についてもよく考えられている分譲地は多いので、安心して生活できます。しっかり計画された環境であるため防犯意識も高い傾向にあると思います。
分譲地には、ご紹介したようにたくさんのメリットがあります。しかし、少ないながらもデメリットはあるので、デメリットについても理解したうえで購入することが重要です。
すでに少し触れましたが、大規模な分譲地ほど市街地から離れたエリアに開発されるため、鉄道の駅が遠いなど、交通の便がよくないことがあります。自動車を所有していれば問題はないとはいえ、常に自動車を利用するというわけにはいかないでしょうから、交通の便を重視するのであれば、規模の小さい分譲地のほうがよいでしょう。
ほとんどの住人が新しく引っ越してくる分譲地では、住人同士がなじみやすいというメリットがあることは間違いありません。しかし、だからこそ住人との交流が面倒に感じてしまう人もいます。家を手に入れたくても、深い近所づきあいは望まないという人は、分譲地の家はあまり合わないかもしれません。
分譲地を購入する際に、必ずチェックしておかなければならないことがあります。
分譲地では通常、施工を担当する会社を自由に選択することが出来ないケースがあります。分譲地を開発する不動産会社が、前もって業者を選んでいることがほとんどだからです。
分譲地は、このように建築条件がつけられていることが多いので、どこまでならできるのか、事前に必ず確認しておきましょう。
分譲地と普通の宅地の価格を比較する際は、分譲地の価格にはライフラインがすでに含まれていることを忘れてはなりません。普通の宅地の価格にはライフラインが含まれていないので、単純に価格だけで比較して普通の宅地を購入するのではなくライフラインが含まれていることを認識しておく必要があります。
分譲住宅は、分譲地に建てられている住宅ですから、皆様の中には「それでは建売住宅じゃないの?」と考える方もいらっしゃると思います。
分譲住宅も建売住宅も、土地と建物をセットで購入するという点では同じですが、まったく同じわけではありません。
分譲住宅は、分譲地を開発した不動産会社が事前に建てる住宅を計画しているため、似たような形やデザインの住宅で統一されていることがほとんどです。建売住宅でも同様のケースはありますが、あくまで「土地と住宅」がセットで販売されるのが建売住宅です。
実際は、分譲住宅と建売住宅をはっきりと区別せずに販売されていることもありますが、定義はやや異なるということは理解しておくに越したことはありません。
分譲住宅と建売住宅は、土地と建物がセットになって販売されるという点では同じです。しかし、細かく見ていくと、当然ながら違いはあります。ここからは分譲住宅の特徴や、分譲・建売住宅に共通するメリット、デメリットについて解説します。
・分譲はナンバーつきで販売される
分譲住宅の土地、建物にはナンバーがつけられていて、価格も明記されている場合がほとんどです。分譲地に建てられる分譲住宅は、ひとつのコミュニティとしてテーマが決められていることが多いので、建売住宅のように土地と建物が通常はセットで販売されます。
分譲住宅は、大きな土地を分割して、分割された土地の上に建てられます。建売住宅は、ただ土地と住宅がセットになっていると考えればよいでしょう。
建売住宅は、分譲地であるかどうかは問わず、土地と住宅がセットで販売される住宅です。すでに触れたとおり、分譲と同義で使われる場合もありますが、建売の場合は小規模な業者が、分譲の場合は大規模な業者が、これらの名称を使うことが多いようです。
・実物を見て家を買える
家の実物を見て購入できることは、分譲住宅の大きなメリットです。これは建売住宅でも同じことがいえます。通常、戸建て住宅を建てる場合は、モデルハウスなどを見学して建てる家をイメージしますが、実際に家が完成してみるとイメージどおりにいかなかったということはよくあることです。分譲住宅や建売住宅なら実物を見られるのでこのような心配はありません。
・コストをかけずに家を手に入れられる
分譲住宅は、不動産会社が開発のために土地や資材をまとめて仕入れて建てるため、住宅1軒当たりのコストが通常の戸建て住宅と比較して安くなる傾向が見受けられます。そのため、通常の戸建て住宅よりも入手コストがかかりません。建売住宅の場合もほぼ同様です。
・誰にでも好まれるオーソドックスなつくり
分譲地を開発する不動産会社は、多くの人に分譲住宅をお勧めするにあたり、住宅は必然的に、誰にでも好まれる間取りやインテリア・エクステリアにデザインされます。そのため、将来的に売却する際にも有利です。
・即入居可
分譲住宅も建売住宅も、すでに建物がそこにあるので、即入居可能です。
・マンション感覚で購入可能
分譲住宅も建売住宅も、土地と建物を同時に、住宅ローンを使ってマンション感覚で手に入れられます。
・ある程度統一した規格での家選びになる
基本的に分譲住宅も建売住宅も、オーナーの好みで仕様を変えたり、作り替えたりすることが可能な住宅ではありません。不動産会社が事前にデザインした住宅を購入することになります。そのため、好みの家を手に入れるためには、好みの家を探さなければなりません。もっとも、分譲住宅は誰にでも好まれるオーソドックスなつくりですから、それほど心配する必要はないのかもしれません。こだわって家を建てるなら注文住宅を選べばよいのですが、当然ながら分譲住宅や建売住宅よりも多くの予算を準備する必要があります。
「望みどおりの家にできるわけではない」と説明したばかりなのに、「分譲地でも注文住宅を建てられる」とはなにごとか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実際、分譲地では建築制限があることが多いのですが、注文住宅を建てられる分譲地もあります。このような分譲地を購入すれば、好みやこだわりを反映させた家づくりをすることが可能です。
ご存じのように、土地がなければ住宅を建てられません。そのため、土地を持っていない場合は、その土地探しから始めなければならないのですが、条件に合った土地を見つけるとなると、そうかんたんには見つからず、着工までに1年以上が経過してしまうということもありがちです。
そこで考えてみたいのが分譲地です。建築条件が緩い分譲地ならば、好みのハウスメーカーをチョイスして、こだわりの家を建てることができるかもしれません。
ただし、このような分譲地を見つけることももちろんかんたんではありません。土地探しに精通した業者に相談することをお勧めします。
「分譲」とは、分割譲渡であり、分譲住宅は、分割された土地に建てられる住宅のことです。建売住宅と同じようですが、この「分割された土地に建てられる」という点で、分譲住宅と建売住宅は異なります。
戸建て住宅を購入する場合、実物を見てから決められるのは分譲住宅と建売住宅、そして中古住宅だけです。不動産会社がまとめて開発することが多いため、建築に制約があることも事実ですが、すべての分譲地に条件がつけられるわけではありません。
住宅の購入を考える際は、分譲や建売、規格住宅や注文住宅といったことを考える前に、どんな家が家族にとって理想的な家なのかをまず考える必要があります。予算に余裕があり、注文住宅でとことんこだわった家を建てたいと考えていても、実は規格住宅で十分に建てられるなんてこともあります。また、家を建てる際は絶対に土地が必要なので、土地がない場合は土地探しから始めなければなりません。家づくりはこのようにトータルで考える必要があります。
分譲地や分譲住宅について解説してきました。分譲地や分譲住宅なら、通常よりも予算を抑えて土地や住宅を手に入れることが可能です。開発する不動産会社により条件がつけられることが多い分譲ですが、中には注文住宅を建てられる分譲地もあります。