2024.08.09

省エネ住宅とは | 義務化はいつから?基準や補助金制度を分かりやすく解説


環境問題への対策や持続可能な社会への取り組みが注目される近年において、「省エネ住宅」の重要性はますます高まっています。省エネ住宅は、家庭でのエネルギー使用を効率的に抑えて環境への負荷を軽減する住まいのことをいいます。この記事では、省エネ住宅の基準や義務化が始まる時期、関連する制度を活用した省エネ住宅の導入方法などについて解説します。


省エネ住宅とは?

省エネ住宅とは、家庭で使用するエネルギー消費量を抑えるために、設備や建築素材を導入している住宅のことです。特に冷暖房は家庭のエネルギー消費の約30%を占めており、冷暖房のエネルギー消費量を削減できる家を省エネ住宅と呼びます。省エネ住宅の性能の特徴は、主に3つあります。冬でも室内の熱を逃さない断熱性、夏に暑い外気を侵入させない日射遮蔽性、室内外の熱の移動を減らす気密性が重要です。冬は熱を逃さず、夏は熱を入れないことで冷暖房に使うエネルギーを削減します。また、省エネ住宅の特徴はエネルギー消費を抑えるだけではありません。室内がいつでも適温に保たれることで快適に過ごせることや、水道光熱費が節約できて経済的などのメリットがあります。さらに、結露を抑制できるため建物が劣化しにくく、カビやダニの発生による健康被害を防止できる効果もあります。省エネ住宅は地球だけでなく、そこに住む人にもやさしい住宅です。


2030年までに新築時の省エネ基準が段階的に変わる

省エネ住宅に関する基準は2030年までに段階的に強化され、新築の住宅は省エネ機能を搭載していることが標準化されます。省エネ基準とは、建築物省エネ法により定められた建築物が省エネルギーのために備えるべき構造や設備に関する基準です。

省エネ基準の改正により、2024年からは省エネ性能表示制度が導入されます。建築物の広告に省エネ性能に関する表示を入れることで、消費者の省エネに関する関心を高め、物件の比較検討をしやすくする目的があります。また、2025年からは建設するすべての建物に、省エネ基準への適合を義務付けることも決まっています。今まで住宅に省エネ基準の適合義務はありませんでしたが、この改正により小規模から大規模までのすべての住宅に省エネ基準適合が義務付けられます。さらに国は、2030年までに省エネ基準を段階的に強化していく方針です。

省エネ住宅にすることで、冷暖房のエネルギー消費量を抑えることができるため、地球環境の改善に貢献できることや、暮らす人の健康が守られることに加え、電気代やガス代などの節約に繋がります。さまざまなメリットがある省エネ住宅は今後注目を集めていくでしょう。


住宅の消費エネルギーを効率的に削減する要素

住宅のエネルギー消費を効率的に削減するには、断熱、気密、日射遮蔽の3つの要素がポイントになります。住宅性能を高めるためのポイントを見ていましょう。

断熱

断熱とは、外壁や窓、屋根、床下から出入りする熱を防ぐために、建物を断熱材で覆うことです。断熱材の役割は、室内の熱を外に逃がさない、外気の熱を室内に入れないことです。これにより、夏は涼しく、冬は暖かい住まいを実現することができます。一般的な断熱材としては、グラスウールやロックウール、発泡ウレタンなどが使用されます。

気密

気密とは、外気と室内の空気が出入りしないように、住宅の隙間をなくすことです。隙間をなくすことで、室内の温度を一定に保つことができ、エネルギー消費を抑えることができます。気密性を高めるためには、建築材の接合部分や窓、ドアの隙間をしっかりとシーリングすることが重要です。

日射遮蔽

日射遮蔽とは、夏の強い日差しを遮ることで、室内の温度上昇を抑えることです。日射遮蔽には、軒や庇、ブラインド、カーテン、すだれなどの設置が有効です。日射遮蔽を適切に行うことで、夏の冷房費を削減することができます。


建築物省エネ法の2つの評価基準

建築物省エネ法では、省エネ性能を評価するために、外皮性能と一次エネルギー消費量の2つの基準が設定されています。

外皮性能:窓や外壁、床などの省エネルギー性能

外皮性能とは、建物の外壁や窓、屋根、床などがどれだけ省エネルギー性能を持っているかを評価する基準です。外皮性能が高いと、建物の断熱性が向上し、冷暖房にかかるエネルギーを削減できます。

一次エネルギー消費量:エアコンや給湯器などの省エネルギー性能

一次エネルギー消費量とは、エアコンや給湯器、照明などの設備がどれだけエネルギーを消費するかを評価する基準です。一次エネルギー消費量が少ないほど、設備の省エネルギー性能が高いことを意味します。


省エネ住宅の種類

省エネ住宅には、さまざまな種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った省エネ住宅を選ぶことが大切です。

低炭素住宅

低炭素住宅とは、CO2排出量を削減するために、省エネルギー性能を高めた住宅です。国が定める低炭素建築物認定基準をクリアした住宅には、補助金や税制優遇があります。

ZEH(ゼッチ)

ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、住宅の年間エネルギー消費量を正味でゼロにすることを目指した住宅です。高い断熱性と省エネルギー設備を備え、さらに太陽光発電などでエネルギーを創出します。

長期優良住宅

長期優良住宅とは、長期間にわたって良好な状態で住み続けられる性能を持つ住宅です。耐震性や省エネルギー性、維持管理の容易性などが考慮されています。

LCCM住宅

LCCM住宅とは、「ライフサイクル・カーボン・マイナス住宅」の略で、建設から廃棄までのライフサイクル全体でCO2排出量をゼロ以下にすることを目指した住宅です。

性能向上計画認定住宅

性能向上計画認定住宅とは、省エネ性能や耐震性能など、一定の性能向上計画が認められた住宅です。国や自治体からの補助金を受けることができます。

パッシブハウス

パッシブハウスとは、外部からのエネルギー供給を最小限に抑える設計がされた住宅です。自然エネルギーを最大限に活用し、断熱性や気密性を高めた設計が特徴です。


省エネ住宅のメリット

省エネ住宅には、さまざまなメリットがあります。住む人や地球環境に優しい住宅として注目されています。

年間を通して快適な居住空間が実現

省エネ住宅は、高い断熱性と気密性を備えているため、室内の温度が安定し、年間を通して快適に過ごせます。

光熱費の削減

省エネ住宅は、エネルギー消費を抑える設計がされているため、光熱費を削減することができます。特に冷暖房の費用を大幅に節約できる点が魅力です。

環境に優しい

省エネ住宅は、エネルギー消費を抑えることで、CO2排出量を削減し、地球環境の保護に貢献します。

ヒートショックの予防

高い断熱性と気密性を備えた省エネ住宅は、室内の温度変化が少なく、ヒートショックの予防に役立ちます。


省エネ住宅のデメリット

省エネ住宅には、いくつかのデメリットもあります。導入を検討する際には、注意が必要です。

設備導入など初期費用が高額

省エネ住宅は、高い断熱性や省エネルギー設備を備えているため、初期費用が高額になることがあります。しかし、長期的には光熱費の削減で元を取れるケースが多いです。

技術力の高い施工が必要

省エネ住宅を建築するには、高い技術力を持つ施工業者が必要です。施工不良があると、省エネ性能が発揮されないことがあります。

住宅の設計に制約が生じることがある

省エネ性能を追求するために、住宅の設計に制約が生じることがあります。デザインや間取りに関しての柔軟性が制限される場合があります。


省エネ住宅にするためのポイント

省エネ住宅を実現するためには、いくつかのポイントがあります。以下に、省エネ住宅にするためのポイントを紹介します。

断熱材や窓の選定

断熱材や窓は、省エネ住宅において重要な要素です。高性能な断熱材や窓を選定することで、室内の温度を一定に保ち、エネルギー消費を抑えることができます。

省エネルギー設備の導入

省エネ住宅には、省エネルギー設備を導入することが重要です。高効率のエアコンや給湯器、LED照明などを採用することで、エネルギー消費を削減できます。

日射遮蔽の工夫

夏の日射遮蔽を工夫することで、冷房費を削減できます。軒や庇、ブラインドなどを活用しましょう。


省エネ住宅の具体的な事例

省エネ住宅には、さまざまな具体的な事例があります。以下に、いくつかの具体的な事例を紹介します。

国産木材を使用した省エネ住宅

国産木材を使用した省エネ住宅は、地産地消を推進し、地元経済に貢献します。また、木材の特性を活かした断熱性や気密性の高い設計が可能です。

自然エネルギーを活用した省エネ住宅

自然エネルギーを活用した省エネ住宅は、太陽光発電や風力発電を利用することで、エネルギーの自給自足を目指します。

リノベーションによる省エネ住宅

既存の住宅をリノベーションすることで、省エネ性能を高めることができます。断熱材の追加や省エネルギー設備の導入が有効です。


まとめ

省エネ住宅は、エネルギー消費を抑え、地球環境や住む人に優しい住宅として注目されています。導入には初期費用がかかることがありますが、長期的な光熱費削減や環境への貢献が期待できます。省エネ住宅を選ぶ際には、さまざまな種類や要素を考慮し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。


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